第3回:未来を支える獣医師-持続可能な酪農の実現に向けて
大山乳業には、酪農家と一緒に牛の健康を守る「獣医師」が所属しています。
あまり知ることのない「大山乳業の獣医師」について、
普段の仕事内容や、やっていて良かったと感じること等全3回に分けてご紹介していきます。
第3回目、最終回となる今回は「未来を支える獣医師」についてです。
topics
■ 持続可能な酪農を目指して -獣医師が果たす新しい役割
■ データと現場を繋ぐ-新しい時代の酪農支援
■ 未来へ -牛とともに地域の笑顔を支える仕事
■ 持続可能な酪農を目指して -獣医師が果たす新しい役割
組合として取り組む”持続可能な酪農”をどう感じていますか?
酪農家戸数は年々減少しており、日本の酪農を守っていくためには若者が「酪農をやりたい」と
思えるような魅力ある産業にしないといけないと感じています。そのためにも、頑張ればきちんと結果が出て、
「日々の努力が報われる」と実感できるような酪農経営のお手伝いができればと思っています。
また、自分たちが搾った生乳から作られた製品を買ってくれる消費者の声を直接聞くことが
酪農家の「やりがい」に繋がると思うので、生産者と消費者との交流の場を設けることも大切だと思います。
消費者も、酪農家の話を聴くことで牛乳を身近に感じ、コップ一杯の牛乳に込められた
酪農家の想いを知ってもらえる機会になると思います。
大山乳業では、酪農家の親子を対象にした交流活動「デーリーキッズサポート」を行っています。
冬はスキー、夏はキャンプ、川遊び、乗馬などの活動を通じて子供同士・親同士の交流を深めるとともに、
酪農に関するクイズ大会やゲームなど、子どもたちに楽しみながら酪農について学んでもらう工夫も
しています。酪農家に生まれたから後を継ぐのが当たり前という時代ではありませんが、県内の同世代の
仲間と交流する中で、将来「酪農がしたい」と思う子どもが一人でも増えてくれればと願っています。
現場で意識していることは?
酪農家の話をしっかり聞くことです。牧場主だけでなく、奥さん、息子さん、従業員など、
関わる人みんなの声に耳を傾けるように意識しています。時に意見が食い違うこともありますが、
こちらの意見だけを押し付けても絶対にうまくいきません。たとえ意見が違ったとしても、
目指すところはみんな同じ、「牛を健康に飼い、良い乳をたくさん搾ること」
「人間も健康で、快適に仕事をすること」だと思います。
相手の想いをしっかり聞いて歩み寄ることも意識している事の1つです。
■ データと現場を繋ぐ ― 新しい時代の酪農支援
ICTやデータ活用など、新しい技術はどのように活かされていますか?
多くの牧場で牛に「万歩計」をつけて歩数を計るシステムが導入されています。
乳牛は定期的に分娩をさせないと乳が搾れないので、効率的に妊娠させることが重要です。
授精適期(発情期)になると歩数が増えるため、歩数を計ることで最適な授精タイミングを
見極めることができます。また、体調不良になると逆に歩数が減るため、病気の
早期発見にもつながります。以前は人間の目で見て確認していましたが、万歩計のデータを
パソコンや携帯で見られるようになったことで作業の効率化に繋がっています。
牛の首についている青い機械:牛の活動量を測り、健康や発情を見守るセンサー
他にも、搾乳ロボットや牛が食べやすいようにエサを寄せてくれる
餌寄せロボットなどを導入している牧場もあります。
■ 未来へ―牛とともに、地域の笑顔を支える仕事
これからの酪農現場に求められる獣医師像とは?
牧場が大規模化しているため、色々な立場の獣医師が関わっていく必要があると思います。
牛の病気の治療はもちろん、繁殖(効率的に牛を妊娠・出産させること)、
乳質改善(良い牛乳をたくさん搾れるよう、牛の管理方法や搾乳に仕方などを改善すること)
を専門とする獣医師、経営全体のことも考えるコンサルタント獣医師など、
それぞれの得意分野を活かして協力していけたら、酪農現場はもっとよくなっていくのではと考えています。
最後に、未来の後輩たちに伝えたいメッセージを
酪農は、生乳を生産するというだけでなく、牛と牛乳を通して命の大切さを伝える、
飼料を育てることで農地を守るなど、重要な役割を担う産業です。それにかかわる獣医師も、
日本の食の安全を支える大事な仕事だと思います。今、全国で産業動物獣医師が不足しており、
一緒に働いてくれる仲間が増えることを切に望みますが、ほかの方面に進む皆さんも、
獣医師として酪農や畜産の現場の事を知り、正しい知識を周りに伝える存在になってくれたらうれしいです。