美味しいひと口のために

牛さんが美味しい生乳を作るには健康で足腰の強い丈夫な体になることがとても大切です。多くの牛さんは鳥取県内や北海道にある放牧場に預けられ、より健康で美味しい生乳を作るよう、広大な土地で丈夫な体を作り、妊娠牛となって酪農家の元へ帰ってきて出産の準備をします。
酪農家は、出産後も牛さんが気持ちよく過ごせるように出来るかぎりの環境を作ります。牛さん達はそれに応え、いつもおいしい生乳を生み出してくれるのです。
沢山の人に毎日おいしい牛乳を口にしていただけるよう、大切な牛さんにたっぷりの愛情を注ぎます。

未来ある酪農に繋がるために自分ができること

私が牛を育てていくうえで大事だと思っていることは、生まれてきた牛の能力を最大限に引き出してあげることです。その為には日々変わらない環境を揃えることが重要です。飼料の質が変われば牛にとってストレスとなり体調も悪くなっていきます。変わらない衣食住を整えることで高品質な生乳が生まれ美味しい白バラ牛乳としてお客様へ届けられると思っています。
しかし、酪農家を取り巻く環境は時代とともに変わっていきます。私の周りでも後継者不足により、牧場を経営する酪農家も減ってきました。これからは、これまで以上に酪農家同士の協力が必要となり、技術革新も今後さらに進んでいくと思います。今、私たちの息子が一緒に酪農家として働いてくれています。4代目として酪農との向き合い方を自ら探し、未来ある酪農の道を見つけて欲しいと願っています。そして、いつまでも鳥取県産の生乳は素晴らしいと誇れるように私の経験と知識を次世代に伝えながら酪農に取り組んでいきたいと思います。

注ぐ情熱と手間は全て愛される牛乳を届けるため

私は牛を健康に育てるために、飼料づくりがとても大切だと考えています。そこで自分たちで育てる飼料が何よりも安心・安全だと考え、9軒の酪農家と粗飼料生産組合をつくり互いに協力し、全部で約150ヘクタールほどの広さの畑で飼料となるトウモロコシをつくっています。もちろん牛の世話と同時に行わないといけないため、収穫時期には休む暇もないほど多忙な日が続きます。しかし、どれだけ多忙になろうとも安心・安全な飼料を与えることが牛に愛情を注ぐために必要不可欠だと思い取り組んでいます。愛情を注ぐことで牛は美味しい生乳を作ってくれます。私たち酪農家が美味しい生乳を届けることが、牛乳をもっと愛される存在にしていくことに繋がると思い、日々酪農に取り組んでいます。
そして今は妻と2人で営む牧場ですが、息子が継ぐために実家に帰り、今後は3人で営む予定です。安心・安全で美味しい生乳づくりへの情熱も引き継いでくれると信じ、これからも魅力的な牛乳をお客様にお届けできるよう歩み続けたいと思います。

伝えることで繋がる酪農の未来と可能性

私は牧場を営んでいることもあり友人などが家族で遊びに来ることも多く、よく迎え入れていたのですが、酪農家として「伝えたいことが伝わっているのかな」「大切なことを伝えきれないままでいいのかな」と考えるようになりました。そんな時に大山乳業から「食と命」の大切さを酪農体験を通して伝える「酪農教育ファームファシリテーター」の存在を教えてもらい、私はすぐに学ぶことを決意しました。ファシリテーターという立場で食と命の関わりを伝え、その後の人生において食と命について知見を深めたいと思う人が少しでも増えてほしいと活動しています。
ファシリテーターとして活動をしていると、たくさんの人とふれあうことで私自身が初めて気付かされることがたくさんあります。そこで得た経験などがファシリテーターとしても酪農家としても私を成長させてくれます。酪農家として伝えられること、ファシリテーターとして伝えられること、私はそのどちらも伝えられる存在として、これからも酪農の大切さと食の大切さをたくさんの人に伝えていきたいと思っています。

同じ志を持つ、守るべき存在

私たち酪農指導部にとって酪農家は、同じ目線で同じ目的へと進む仲間です。常に酪農家へのリスペクトを持ち続け、何か困り事があるときは解決できるように最善を尽くしています。その中で、私自身も酪農家から学ぶことがたくさんあります。良い事例は他の酪農家にも伝え、県内の酪農家と一丸となって、よりおいしい生乳づくりを目指しています。
また、私たちは酪農家戸数を守っていくことも大切な役割だと考えています。後継者の育成、酪農場の労働環境を改善するための取り組みに尽力し、酪農家の未来を守っていくことこそ、白バラの未来を守ることに繋がると信じています。